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-西研ホームページ-
( 2003/3・28 更新)
このホーム・ページは、京都・岩倉にくらす「哲人」西研(にし・けん)と、多摩丘陵に住む「元・ご近所」犬端渉(いぬはし・わたる)=管理人 で作っていきます。西の活動状況や、論文、エッセイ、西の管理人・犬端への「語りおろし」などを掲載していきます。少しずつ充実させていきますので、よろしくどうぞ。
このごろの西研
●京都に引っ越しました!
 
二月末に、十五年ほど住んですっかり慣れ親しんでいた多摩丘陵の生田から、京都の岩倉に引っ越しました。岩倉は京都市の左京区ですが、市の中心から見ると北東のほうで、都の外になります。叡山電鉄という、比叡山に向かう電車の途中の駅になります。山が近いです。
引っ越したらさっそく毎日雪がふり、晴れていてもサッと曇って雪が降る。なんと寒いところだ、とびっくり。「こんなのは京都でも珍しいよ」と言われて、ホッとし、「でも、中心部からすると二度は確実に低いね」と言われてガックリ。寒いです〜。
でもこのところは暖かく天気もよくなり、子どもをつれて散歩してますと、昔からの農家の家がたくさんあり、なごんできます。田圃がところどころあったりします。いいところだなーと思えてきました。
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京都に引っ越してきたのは、京都精華大学という小さな大学に新しくできる、「社会メディア学科」の教員になるためです。学長の元ヒッピー、中尾ハジメさんが、「社会と人間を本気で考えていく、そんな大学にしたい」とおっしゃったので、「それならやりましょう!」と引き受けました。精華大のHPは次のところです。
http://www.kyoto-seika.ac.jp/
 
社会メディア学科という名はちょっとわかりにくいですが、「メディアを切り口にして現代社会を考えていく」という意味合いです。インターネットやマンガや雑誌や音楽や、私たちの生活がまさにメディアによって形作られている、ということが念頭にあります。
狭義のメディアだけでなく、交通や貨幣のような広いいみでの「媒体」も含めて考えれば、メディアから社会を考えるという視角には、発展性があるように思っています。
まもなく第一期の学生さんたちと会えるのが楽しみです。ぼくはこの学科の必修である「社会メディア論」(前期)を講義することになりました。彼らには「人間と社会を考えるうえで、いちばん大切な、基礎になること」を教えたいと思い、うーんそれは何かなあ?と考えて、今回のテーマは「近代とは何か」ということにしました。
あらためて、「自由の理念・市場経済・国民国家」といったものをとりあげてみる。それらがどのようにして成立してきたのか、そのこととメディアとのかかわりはどうか。それらがもたらした光と影の両面を見る……そんな内容にすべく、いま授業計画をつくっています。社会メディア学科の同僚の人たちも内容を練り上げるのを手伝ってくれています。
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今後のことですが、まず、このホームページはこれからも続きます! 犬端さんともしっかり連絡とってやっていきます。東京に来る機会をつかって、これからも「語りおろし」もやります。更新ももうちょっとマメにやりたいです(更新が遅いのは、もっぱらぼくの責任なのです〜)。よろしくお願いいたします。
四月からの東京での継続的な活動は一つだけになりました。新宿朝日カルチャーセンターで、竹田青嗣さんといっしょに『ヘーゲル精神現象学を徹底講読する』という講座をやります。月一度です。参加ご希望の方は、03-3344-1945、までお問い合わせください。
 
ではこれからもときどき、西研ホームページ、のぞいてみてください。
2003/3/25、西研
藤野美奈子著(西研協力)『考えることで楽になろう』、メディアファクトリーより発売です
戦争、テレビを見てると、ずっと暖めている『正義論』を早く書かねばと思います。それとは逆のベクトルなのですが、先日、個人的な悩みをどう考えたらよいか、という本を藤野美奈子さん(愛称みなっち、ぼくはもっぱら「みなっち先生」と呼んでます)といっしょにつくりました。ぼくは協力者という形で文章を書きました。
著者の藤野さんは、ギャグマンガ家で、ビッグコミックスピリッツで連載した『友子の場合』(小学館)は、ともさかりえ主演で映画にもなりました。『持病のシャタク』(小学館)は鋭いギャグセンスにうなってしまいます。メディアファクトリーからは、藤野さんの盟友である小倉香さんの編集による『新婚合宿』『レンジで5分』があります。こんどの『考えることで〜』も藤野=小倉のタッグによるものです。
この本は一言で言うと、悩みを哲学する本、です。悩みの本質を考え詰めて、それがハッキリしてくるとどうしたらよいかもハッキリしてくる(態度が取れる)、ということをいくつかの具体的な問題でもって示していきます。
「他人の目が気になって、自分じゃないキャラを演じてしまう」
「カラオケごときでどきどきする私」
「私のもっともダークサイド「嫉妬」。どうやったら避けてとおれる?」
といった具合です。
藤野さんが、マンガと文章でもって、問題の本質を煮詰めていき−−ユーモアと実感がこもっていて、つい笑ってしまいます−−、ぼくは最後に「考えるプロ」として登場して、考えをもう一歩先にすすめるためのアドバイス及び理論的な捉え直しをする、というしかけです。
つくりは女性向けですが、内容は一般的なものなので、ぼくと同世代かそれ以上のおじさん?たちももそれなりに楽しめるのでは、と思います。(そうそう、竹田青嗣さん、すぐに読んでとってもほめてくれました。うれしかった。)でもやっぱり若い人に読んで欲しいかな……。でもそんな一言は忘れてもらって、ぜひ、本屋さんで手にとっていただきたいと思います!
(管理人からもひとこと)
……ファーストフード店での(気が利かない)店員とのやりとりに、「なぜか……」妙にイラついている「わたし」。 壊れてしまった友人関係の記憶を「なぜか……」いつまでもいたいたしく抱え込んでいる「わたし」。たぶん多くの「わたし」が共有している、こうした「なぜか……」にまともに向き合い考え詰めていくきわめてまじめないとなみを、「おもしろ・せつなく」なしとげているのが(「……」が「なぜか……」妙に好きで多用する)僕にとってのこの本の魅力です。みなさんもぜひ読んでくださいまし。……
西研・最新作「大人のための哲学授業」(大和書房)
ひとはときに、自分と世界の関係を確かめ直し、新たにつくり直す必要に迫られる。「私の仕事はほんとうに価値がある仕事なのか」「いったい私は何をしたかったのか、わからなくなってしまった」ということも、ある。
また社会全体としても、どういう在り方が望ましいのか、わからなくなってしまうことがある。じっさい、教育についても、社会正義についても、何が大切な共有すべきものなのか、私たちにはわからなくなって途方に暮れている。
そういうときに、個人が、自分の生を確かめ新たな方向をかたちづくることをサポートし、かつ、社会を生きるものとしての私たちが新たな理念を共有しかたちづくることをサポートするような、考え方がなくてはならない。
哲学とはそういうものであるありうるはずだ、いやむしろ、それこそが哲学の使命なのだ、とぼくは考えてきた。
この本は、そういう視点から書かれた哲学入門の講義である。
……「あとがき」より
・じぶんの場所から
もぎたて語りおろし……『大人のための哲学授業』がめざしたことは?(2003/1・17UP)
「社会学と市民社会の理念」(2002/12・23UP)
2001年7月に仙台で行われた東北社会学会において、「思想としての社会学の可能性」というタイトルでシンポジウムが行われました。菅野仁さんの司会のもと、課題報告として、パーソンズについて高城和義、ウェーバーについて松井克浩、マルクスについて加藤真義の三氏から発表があり、西研と正村俊之さんがコメンテイターとしてコメントしました。そのさいの西のコメントをまとめたものがこの小論です(西研)。
書き下ろし未発表論文です。
「なんのための」社会学か?(2003/1・12UP)
これは、2001年度東北社会学会大会の課題報告「思想としての社会学の可能性」(2001年7月)において、三人の報告者に対して西がコメントしたことがきっかけになっています。そのあと、ウェーバー論のかたちで、あらためて社会学の存在理由について考えてみたのがこの未発表論文です(ぼくは学生のときには社会学と哲学の両方を勉強していたので、社会学には特に愛着があります)。 東北社会学会の『社会学年報』に掲載することを念頭においていたのですが、そこには当日のコメントに沿った論文を掲載することになり(これが「社会学と市民社会の理念」)、それでこちらは宙に浮いてままになっていたわけです。内容的には「社会学と市民社会の理念」と重なるところもありますが、ウェーバーの客観性論文と価値自由論文を検討していますので、その点に興味のある方はどうぞご覧ください(西研)。
社会思想はどのような要請のもとに形づくられてきたのか。今後、社会学どのように構想すれば、人々の生の問題に届くものとなるのか。……平明に、かつ深く、解き明かしてくれます。ぜひ、ご一読くださいね。
「二十一世紀の文化を考える−−“世界像の危機”の時代に」(2002/12・2)
京都精華大学が入学を希望する高校生を対象に開催している「人文学セミナー」第一回(02/6/9)で行った記録の実録です。「“世界”と“自分”の関係としての“世界像”」という観点から、現代社会を「世界像の危機の時代」と捉えて、そこから生じる問題を描いたものです(西研)。
エッセイ 失われてしまった勉学の意味…これをどうやって再構築すればいいのだろうか?〜日本標準「きょういく@コム」連載中「きょういくをテツガクする」より(2002/12・27)
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■エッセイ〜「きょういくをテツガクする」 (2002.12・27)
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