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朝日カルチャーセンター(新宿)、4月からの


 「正義」について考える

                                      講師 哲学者 西研


(講座の内容

 痛ましい貿易センタービルの倒壊事件のあと、ブッシュ大統領はアフガニスタンへの爆撃を行いました。そのさい彼は、何度も「正義 justice」という言葉を口にしました。その映像を見ながら「正義とはいったい何なのか?」と自問した方も多かったのではないかと思います。
 この講座では、端的に「正義の本質とは何か」「私たちが採用すべき正義の基準というものはあるのか」という問いに迫ってみたいと思います。
 一方的に講義を行うのではなく、参加者一人一人に考えてもらったり相互に話し合ったりする「実習」の形式で行います。とくに予備知識は必要ありません。哲学ははじめての方も歓迎します。自分自身の感覚をていねいに見つめること、そして、他人の意見をていねいに聴きとること、そうした姿勢こそが大切です。
 具体的には、1.正義の本質観取(それぞれが考え、かつ話しあう。まず正義という言葉について各人のもっている感覚やこだわりをはっきりさせて、そこから問いを取り出すところから始めます)。2.近代哲学、保守思想、社会主義、ポスト・モダン、それぞれの正義論の骨子の紹介(西の講義)、3.個人発表(考えを述べてみたい人)などを織り交ぜて行っていきます。
                                

日  時   2002年 4/8, 5/13, 6/10, 7/8, 8/26, 9/30, 10/28, 11/25
       月1回 月曜日 18:30〜20:30 全8回

受講料(税別) 会員 20,800円 一般 24,800円(入会金不要)
場  所   新宿住友ビル48階 朝日カルチャーセンター(申し込みは4階受付)
*講師の病気、受講者が一定人員に達しない場合などに、講座を延期または中止することがあります。



 ヘーゲル『精神現象学』を徹底講読する

             
講師 哲学者・文芸評論家 竹田青嗣+哲学者 西研

(講座の内容
 ヘーゲル哲学はヨーロッパ近代哲学の最高峰に位置する──。この評価はしばしば聞かれるものだが、しかしヘーゲルはほんとうに読解されてきただろうか。この問いに対して、あえてつぎのように言ってみたい。ヘーゲルはこれまで決してその真価を理解されたことがなかった、と。
 汎神論者、絶対精神一元論者、歴史決定論者、ヨーロッパ形而上学の完成者、保守的国家主義者……、これらがこれまでわたしたちに与えられてきたヘーゲルの一般像だった。しかし、このようなヘーゲル像は、もし読者がたとえば『精神現象学』に表現されているヘーゲルの思想をつぶさに、かつありのままに読み解いていくなら、必ずうち砕かれるべきものである。その代わりに読者は、そこに、数百年にわたる近代思想のもっとも優れた精髄を見出すことができるはずだ。
 『精神現象学』の根本的テーマは、絶対知にいたる思惟の必然的運動、などといったものではない。人間の精神はつねに「自由」へめがけようとする本性をもつ。それははじめ主観的な意識の内部でのドラマを演じ、やがて必然的に社会の実体的関係の中で相互的な「自由」の実現という道程をとる。しかしまたこの人間関係および社会の現実関係のプロセスは、必ず各人の「実存」の劇において、つまり「倫理」的本質としてのみ展開する……。ヘーゲルの『精神現象学』は、社会という実体的存在と個人という倫理存在の間の関係の本質をみごとに描き出した、近代最高の社会学であり倫理学でもある。
 現代思想は、プラトン、ヘーゲル、フッサールという三人の哲学者たちをまったく理解しなかった。そのことは、現代思想における明らかな思想的敗北を、現在結果しているように思える。いま、わたしたちは、これらの哲学者たちから、哲学的思考を本質的な意味で再出発させたいと考えている。                   


 講義は、西研、竹田青嗣の二人体制で行ないます。以下にいくつか条件等があります。

@『精神現象学』の本文を講読する講義です。
テクストはヘーゲル『精神現象学』牧野紀之訳(未知谷[みちたに]刊)を使用します。できるだけ購入されることを希望しますが、希望の方にはプリントでそのつど配布します。(費用は実費)
A必読文献 西研『ヘーゲル大人のなりかた』(NHKブックス)
 近代哲学全体にかかわるので、参考書として『はじめての哲学史』(有斐閣)を勧めます。
B原則的に、毎月一回(土曜日)の講義と夏冬一泊の合宿講義で、一年通年の講義です。一泊の合宿で3、4回分進むので、基本的に合宿参加を前提として講義を進めます。合宿では、その他楽しい討論もあります。また講読ゼミナールなので参加者にレジメを担当してもらいますが、もちろん希望者のみです。
C講義の方式は、受講者のレジメをもとに、講師の解説によって、章ごとに完全解読してゆきます。講師の語り下ろしレジメも出します。難解なヘーゲルの文章と思想を必ず理解することができます。将来哲学の新しい星たろうという意気込みの人のみならず、ヘーゲルでほんとに大人になれるのかという野次馬的興味の人でも、まったく問題ありません。
とことんていねいにやるつもりです。

※本講座では、9月に合宿を予定しています。参加費はそのつど徴収します。あらかじめご了承ください。

テキスト  ヘーゲル『精神現象学』牧野紀之訳(未知谷刊 10,500円)は、開講日に48階カウンターで販売します。

日 時   4/20, 5/18, 6/15, 7/13, 8/3
        土曜日 18:00〜20:00 全5回 合宿(9/14(土)〜15(日)の1泊2日)

受講料(税別) 会員 14,500円 一般 17,000円(入会金不要)
場  所   新宿住友ビル48階 朝日カルチャーセンター(申し込みは4階受付)
*講師の病気、受講者が一定人員に達しない場合などに、講座を延期または中止することがあります。

朝日カルチャーセンタ
〒163-0204 新宿住友ビル内 私書箱22号
東京都新宿区西新宿 2-6-1  TEL.03-3344-1945(直)
インターネット情報接続先 http://www.asahi.com/acc/acc.html



朝日カルチャーセンター(横浜)4月からの


 
 フーコーの近代哲学批判
                                           
講師 哲学者 西研

(講座の内容
 
ミシェル・フーコーの思索は、近代哲学と鋭く対決しつつ行われました。
 『言葉と物』で、彼が「人間の終焉」を語ったことはよく知られています。それはカントにはじまる「超越論的哲学」−−これをフーコーは人間の超時代的な「本質」を問う哲学とみなしています−−に対する根本的な異議申し立てでした。
 『監獄の誕生』『性の歴史』といった著作では、近代を「自由の実現」とみなし、権力の民主的コントロールが可能になったとするヘーゲルの歴史観が批判の対象となります。フーコーはむしろ、近代のなかで個人の身体を調教して「有用かつ従順な」ものへと作りあげる「規律権力」が発展してきたことを指摘しました。
 フーコーの成し遂げたことに大きな意義があることは疑いを容れませんが、しかし彼の近代哲学批判がはたして的を得たものだったのか、という点には問題があります。フーコーと彼のフォロワーは、カントやヘーゲルの思想の核心を捉え損なっていると私は考えます。
 この講座では、フーコーの思想を、『言葉と物』における近代知の批判と、『監獄』以降の「生−権力」論の二つの点に絞って整理しつつ、その成果と問題点とを明らかにすることをめざします。「フーコー入門」にもなるように配慮した講義にします。


講義日程 4/24、5/22,6/26,7/24

日 時 2002年4月24日〜7月24日 全4回

受講料 会員 10,000円 一般(入会金不要)12,000円

場 所 ルミネ横浜8階(横浜駅東口)

朝日カルチャーセンター・横浜
〒220-0011 横浜市西区高島2-16-1 ルミネ横浜8F
      電話(045)453-1122(代)


朝日カルチャーセンター/4月からの通信

  
自分と社会を考える小論文

                         
監修 哲学者 西研

 論文とは、エッセイや感想文とは異なった種類の文章です。その特質は、まず問いを設定し、それに対してさまざまな角度から考えることによって、自分なりの答えを出そうとする点にあります。従って、美しく整ったいわゆる「上手な」文章よりも、どれだけ考えを鋭く、深く掘り込んだかが、よしあしの基準となります。
 この講座では、文章を整えるだけの添削ではなく、一人一人の論文に沿いながら、その人の考えをさらに深めるために必要なことをアドバイスしていきます。レポートや卒論の書き方を学びたい方はもちろん、自分という存在や社会のあり方について考えを深めたい方にも、お薦めします。テーマはこちらで設定しますが、最終回は自由論文となります。各回の字数は、1200字程度です。



〈添削講師プロフィール〉

森下育彦
(もりした・いくひこ) 1955年、長野県生まれ。和光大学人文学部文学科卒業。現在、河合塾及び駿台予備学校で文系小論文の添削指導を担当し、月百枚ほどの答案を読む。「添削の鉄人」との声もある。共著に『「考える」ための小論文』(ちくま新書)がある。

栗林玲子
(くりばやし・れいこ) 1957年、愛媛県生まれ。和光大学人文学部芸術学科卒業。現在、駿台予備学校で文系小論文の添削指導を担当。受講者の可能性をのばす添削をモットーとする。


受講期間 4月、7月、10月、1月から6カ月間。

受講料 6カ月 20,550円(教材費・消費税を含む)。

【申し込み方法】郵便局備え付けの振替用紙をご利用ください。加入者名を「朝日カルチャーセンター」とし、口座番号を「00150-6-57322」、通信欄に講座名、職業、年齢を銘記、払込人欄にご自宅の住所・氏名(フリガナも)、電話番号をご記入の上、受講料をお払い込みください。
【問い合わせ】通信講座部へ TEL 03-3344-2527(直通)
 〒163-0278 東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル私書箱21号 朝日カルチャーセンター 
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